11月になりました。熊本・円台寺で、ご夫婦で週末を活かしてDIYで古民家再生中です。 先月(10月)までの作業内容はこちらで・・・・・。
■古民家再生物語・円台寺の家(その2) ■古民家再生物語・円台寺の家(その3)
2016・11・03(5週目)
午前中は納屋の片付と補強作業です。
午後、4帖の間の壁のボード張をして頂きました。ご夫婦共、初ボード張です。

一方、私は、玄関と土間の仕切りに建具を入れるように差鴨居を設けます。


差鴨居は横揺れ防止にもなる優れた伝統的な知恵です。この材も古材の再利用です。
2016・11・05~11・06
今週からは木部の着色も始めます。 着色は墨汁です。墨は煤と膠(ニカワ)で出来ています。なので、既存のこの煤けた黒い梁に近づけることが出来るのです。古材にこの墨汁(水に墨汁を垂らして濃さを調整します)を塗ることにしています。

木部の塗装は壁を仕上げる前に塗ることにしています。この段階だと壁にはみ出しても大丈夫です。刷毛の使い方もこの段階で習得出来ます。
既存の梁や柱の拭き掃除 壁や床の仕上げる前に天井の拭き掃除をしておきます。クギや不要な配線もこの時点で取り除きます。 先ず、木酢液をスプレーし、そのあと雑巾で拭きます。木酢液は天然素材で、殺虫、防カビ効果があります。 親子で頑張る、くぎ抜きと拭き掃除。

拭き上げて梁の傷にも薄めた墨汁を塗ります。傷も目立たなくなります。

既存の梁、柱、新しく付け足した木材共に違和感なく溶け込みます。拭きあがった梁は清々しいです。かまどの煙で燻された黒。人工的な色に無い自然の色です。
天井の掃除と塗装と並行して、トイレ、洗面、風呂の間仕切りの下地の準備作業も行っています。洗面脱衣の間仕切り、その向こうに風呂。この風呂が曲者です。風呂は常に湿気があり、古民家にとっては天敵です。今回は乾式工法のユニットバス(UB)を設置することにしました。その前にこの風呂桶を撤去する作業が待っています。

予想通り、漆喰で覆われた梁が・・・・・。段ボールのようになっています。この漆喰を塗った職人?さんに見せたい。職人さんに知識があればこんなことにならないはずなのですが・・・・・。木材は呼吸出来てこそ長持ちします。厚化粧はお肌にもカラダにもよくないのは〇〇だけではありません。この国の伝統的な技を持つ職人さんではありえないことです。

さて、どう対処しましょうか。
2016・11・12~13(6週目) 今週の作業。
台所を土間にする。
自然に近いところで暮らすには土間は欠かせません。家の外と内を頻繁に出入りすることになるからです。畑作業、薪割り等のあと、途中で簡単に家の中に入れる、土間は欠かせません。 今回はその土間つくりの作業です。

この台所を土間のある台所につくり替えます。元々ここは土間であったところです。かまどもあった。そのかまどの煙で燻され梁や柱は真っ黒に煤けています。燻されていたためにこの古民家は今日まで存在したと云っても過言で無いでしょう。 右の壁(針葉樹構造用合板で補強した壁)や、天井の釘抜き、拭き掃除が終わりましたので、いよいよ床の改修に取り掛かれます。

板を剥がし、根太を撤去した状態です。板も根太も丁寧に剥がします。これを「生け捕り」といっています。再利用するためです。
「生け捕り」は、撤去するとき、どのように取り付けてあるのかわからないと解体するとき必要以上のエネルギーがかかり、疲れるだけです。この「生け捕り」の作業でいろんなこと、職人さんの技なども学べます。
右の壁の前の板は剥がしてないところは食器棚を設けるところです。奥の流し台はもう少し撤去を先にします。水が出ないと作業が出来なくなるからです。 給排水の配管が終われば移動します。

撤去した材を再利用するために、丁寧にカットしての作業です。材をカットする前に釘を抜いておくと後の作業が楽です。

床の板張り作業です。ご夫婦で作業してもらいました。フロア釘を使ってクギを斜め打ちして張る作業です。これからこの作業が多くあることになります。

剥がした「生け捕り」した材(根太)でカウンターの下地をつくります。撤去した床の板で床も張り継ぎして床を整えます。 右の棚は仮設の棚です。散乱する作業道具を置くところにします。美味しい現場珈琲もこの棚でつくれます。

カウンターを仮着けしてみました。流し台も仮据え付けしました。このカウンター(床の間の板)や流し台は解体現場から貰ってきたものです。奥の既存の流し台は当分このままにしておきます。給排水の配管が出来次第移動する予定です。 今週はここまでです。
2016・11・19~20(7週目)
風呂の解体撤去 古民家の中での風呂はモルタル、タイル張りの内装では湿気で古民家の柱や梁が傷みやすい。殆ど、何処の風呂も木部は腐っていたりシロアリに侵されています。古民家では湿気は天敵です。なので、私は、ユニットバスを使います。ユニットバスは柱や梁に直接触れずに設置出来ます。

解体は唐津のご両親が駆けつけて施して頂きました。手慣れた作業で、頼もしい限りです。
週末を活かし、家族の応援で、DIYでつくる、古民家再生です。

階段を付替える 2階に上がる階段は部屋から入るようになっている。特に古民家の場合、茅葺から瓦葺きに替える時、2階を増築する時などに多く見られる。これは使いにくい。 この古民家もやはりそうなっている。

そこで、最初の一段目の踏段を広げて通路から登れるように変更します。大きな荷物は部屋側から使えるし、普段は少し狭いが部屋を通らずに昇り降りが出来るようになります。
今回の作業は仮留めです、2階の床を張る時に本留めします。

古材を活かす
古民家を解体するとまだまだ使えるものも多く処分されてしまいます。今回もそんな解体処分されてしまう古材を活かすことにしています。 もったいない、どこかに活かせそうと云ったものを集めてもらって、現物を見てからアドリブで、古材を活かすことにしています。 座敷の書院の建具を活かす。 玄関を入った正面に階段があるのでその目隠しに活かすことにします。チョッと晴々しい、仰々しいように見えますが・・・・・。何より、これをつくった職人さんの腕を活かすことの方が大切だと思います。他の建具も入れて落ち着くようになればと思います。

2016・11・27(8週目)
今月も、きょうで最後の週になりました。週末の休日を使って、ご夫婦とその家族でのDIYでの古民家の再生です。 耐震補強 きょうは耐震補強のつづきの作業です。耐震に必要な壁、貫を撤去されている部分の補強です。部屋を広くするため?に無神経に壁を撤去した部分の再生です。今回は伝統的な差し鴨居の考えを取り入れて垂れ壁を設けて補強することにしました。

下地に胴縁を組み、両面に針葉樹構造用合板12mmをビス止めにします。柱と柱の間に設ける真壁にします。下部の角材90mmは切断された貫の一部と一体になるよう差込ました。 これでこの壁が差鴨居と同じような効果を発揮してくれると思います。 空間を狭くせずに耐震補強も出来る、この差し鴨居の考え方は有効な方法です。 食器棚づくり きょうは耐震補強と並行して食器棚の製作にかかります。 解体現場から貰って来た欄間のガラス入りの建具(4枚)を活かすことにします。 食器棚の奥の壁になる部分に、これも貰って来た巾の広い板を張ります。そして、棚のフレームを組みます。

このフレームは敷居と鴨居です。敷居も鴨居も21×36mmと30×45mmの胴縁でつくります。溝切工具があればいいのですがDIYでつくるには、この方法をお勧めです。

右が敷居。左が鴨居。です。 建具をいれて見ました。こんな感じになります。

このあとの作業は、貰ってきた端材を吟味して張ると完成です。 更にこの棚の下に棚をつくります。この作業のつづきは来週にします。
(つづく)